「国際ロマンス詐欺」は、その言葉の意味の説明もいらないぐらい、一般的に認知されてきつつあります。
しかし、実際には手法も様々であり、手口も日々進化していると思われます。
その実態を見ていきましょう。
発端はSNS
今回、調査をする発端となったのは、弊サイトの協力者様のtwitterアカウントをフォローしてきた外国人女性がいたことです。
その外国人女性のtwitterアカウントはあまり更新されておらず、当たり障りのない内容のツイートがほんの数件あるだけでした。
協力者様がフォローバックすると、早速DMが届きます。
早々にLINEで繋がりたがる
twitterのDM内容によると、大まかには
・日本人の友人がほしい
・近々日本に行くのでその時に会いたい
・LINEで繋がれるか?
という感じで、早々とLINE交換をしたがっていました。
特徴あれこれ
LINE交換を承諾すると、早速LINEにてこちらの基本的な情報や属性を引き出すような質問が続きます。
主に年齢や居住地、既婚か未婚か、仕事内容等…etc.
向こうも
・年齢が29歳であること
・シンガポール人であること
・母親が日本出身なので日本語がある程度できるということ
・以前事業で失敗して155万ドルの負債を抱えたが1年たらずで完済したこと
・現在は財務関係の会社(?)で働いているということ
など、自身に関することもあれこれ送ってきます。
こちらが適当に答えていると、写真を交換したがり、自身の顔写真も送り付けてきました。
いかにもという感じの黒髪美人です。
手法も進化している
このテの詐欺においては
男性ターゲットなら美人の写真
女性ターゲットの場合はイケメンの写真
を使用してメッセージを送ってくる場合がほとんどで、でも実際にメッセージのやり取りをしているいわゆる「中の人」は、キャラクターの性別に関係なく詐欺グループの男性スタッフである場合が多かったようなので、今回もそういうパターンを想定してやりとりをしていました。
しかし意外なことに今回、文字のメッセージだけではなく、ボイスメッセージもたくさん送ってきます。
ちゃんと女性の声で、メッセージの内容も前後のやり取りに則したものなので、テンプレ的なものではありません。
この辺りは一昔前よりも周到になっているというか、より巧妙になっていると感じました。
セレブアピール
筆者との年齢差が大きい為、不自然になるのを避ける為か、あくまでも「恋人」ではなく「友人」になりたがるアピールが続きます。
やりとりを続けていると、児童養護施設に多額の寄付をしたとか、友人とゴルフに行ったとか、高級車に乗っているだとか、そういうセレブ的な話題や写真を送ってきて、裕福であることをアピールしてきます。
唐突に投資の話へ
二日間ほどやり取りをしたところで、想定していたよりも早く、投資に関する話をしてきました。
仮想通貨FXの取引画面のスクリーンショットのようなものを送ってきます。
イーサリアム(ETH※メジャーな仮想通貨の一種)が爆上がりしたところで利確した瞬間のような画像になってます。
てっきり、もっとガチガチに信頼関係を作ってからこのテの話に入っていくものと思っていたので、この唐突さは正直想定外でしたが、恋人設定ではなく友人設定ということもあり、通常よりも早くさっさと「本題」に入ったのでしょう。
お決まりのパターン?
送られてきた向こうの投資実績画像について、こちらが「わーすごいですねー(棒読み)」と賞賛していると、彼女からこれまた唐突に、日本の暗号通貨取引所であるbitFlyer(ビットフライヤー)の口座開設を勧められました。
彼女達が詐欺を成就する為の初期段階として、まず最初に国内の大手暗号通貨取引所の開設を促してくるというのは、被害者の方々の口コミや体験談でよく目にしたパターンです。
唐突にゲームセット
bitFlyer(ビットフライヤー)の口座開設を勧められたところで、何故か彼女のtwitterのほうのアカウントがtwitterの運営に一時凍結されました。
twitterによると「不適切な操作のあったアカウント」となっていました。
ほぼ同時ぐらいのタイミングで、LINEのメッセージはピタリと来なくなりました。
推測ですが、既に被害に遭った別のユーザーがtwitter側に通報・報告したのだと思います。
ここのところ、twitterの運営は非常に動きが迅速になったと感じるのは筆者だけでしょうか。
さて、もしもtwitterのアカウントが凍結されずにそのまま進んでいたら、この先の流れとしてはおそらく、国内の暗号通貨取引所であれば危険はないと安心させ、開設・入金後、次のステップは海外の取引所の口座開設及び資産移動です。
そして海外口座へ資金移動すると、取引画面上では儲かっているかのように多少の成功体験をさせ、こちらが調子に乗って「これは儲かるかも…」という思考になってきたところで大幅な増資を促し、こちらが大金を入金すると取引サイトにはアクセスできなくなり、彼女(詐欺グループ)の勝ち、というパターンになるはずだったのではないでしょうか。
まあ、こちらとしてもサンプリング調査はそろそろ大詰めだと感じていたので、潮時だと判断し、ここらで幕を引きました。
まとめ
一口に「国際ロマンス詐欺」と言っても、実際には色んなパターンがあります。
今回のようにアジア系外国人としてSNS上で話しかけてきて、投資詐欺へ誘導するパターンもあれば、内戦地の兵士や軍人を装って金銭を要求してくるパターンもあります。
意外と歴史(?)は長く、既に数年前から被害が発生している使い古された手法ではありますが、現在進行形で今もこうして詐欺師達が活動しているということは、現在も引っかかっている人がいるということに他なりません。
元々日本人は、良く言えば性善説に頼る場面が多い民族です。
悪く言えば、平和ボケ。
国際ロマンス詐欺に限らず、「オレオレ詐欺」なんかもいまだになくならないのは、一定数の引っかかっている人がいるからです。
「常に人を疑ってかかれ」などといったような寂しいことを言うつもりはありません。
しかし、何か少しでも違和感を覚えたら立ち止まり、信頼できる第三者に相談してみることを推奨いたします。
今回の調査で分かったように、詐欺グループも実際に若い女性を使い、リアリティを持たせる形でボイスメッセージでのやりとりをしたり等、年々巧妙化してきておりますが、引っかかる人がいなくなれば、詐欺グループも委縮していくことでしょう。
騙されないようにご注意ください。
(参考)本日のキーワード
国際ロマンス詐欺とは
SNSなどを通じて外国の異性と恋愛関係になっていたもの、何かの機会にお金を無心され送金した後に連絡が取れなくなっている、という被害の相談が相次いでいます。
このような詐欺のことを通称「国際ロマンス詐欺」と呼んでいます。
https://okelog.com/romance-tokutyou/
というわけで、近年たびたび報道されることも多くなった国際ロマンス詐欺ですが、これまでに表面化した事例では、実態は投資詐欺であったり、少しづつ送金させる金額をエスカレートさせていく送金詐欺等が多数でした
(※内容によっては別記事で既出の場合もございますのでご了承ください)
相場に影響するかも?世間の出来事
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(※同時期の別記事で既出の場合もございますのでご了承ください)